南西レコード

ぱびろーま2

祖父の妹であるU子おばが危篤だという知らせが入った。こんな作文を書いた矢先のことだ。

おばは兄であるうちの祖父とは20近くも年が離れている。だから祖母が嫁入りしたばかりの頃は、おばを連れて歩いていたらよく子供かと間違われたそうだ。
私の母たち兄妹からしても、あまり年が離れていないことで取っ付きやすかったのか、他の親戚よりもおばの家とはだいぶ親しく付き合っていた。

かくいう私も、夏が来るたびにおばの家に上がり込んではいろいろ食べさせてもらった身である。夏の祭りの度におばが作ってくれる神酒が大好きだった。

病弱なおばは43年もの間ずっと入退院を繰り返してきた猛者だが、見舞いに行くたびに予想より元気そう。だからいつもその様子を見に行っては安心して胸を撫で下ろすのが、私の4か月に一度くらいの楽しみの一つとなっていた。
しかし、ついに血圧が下がり始めて、今回はいよいよ危ないという。

昼休みに職場から抜け出して様子を見てきた。もう言葉は喋れなくなっている。眼だけがゆっくり動いているので、僅かにでも意識が存在していることを信じるしかない。
おばの旦那おじーが「お前が来たから笑ってるさー」と言ってくれたことで救われたような気持ちになる。

仕事が終わったらまたそのまま病院に向かった。
明らかに昼よりも衰弱してきているのがわかる。もうおばの目は光に反応していないらしい。
「でも耳だけは最後まで聞こえるから」ということで、親戚で代わる代わる耳元に語りかける。「みんなおばーのことが大好きだからね」「なんにも心配しないでいいから、安らかにね」
そんなことを話しかけているうちに、おばの目から涙が滲んだ。本当に言葉が届いた為か、身体の衰弱によるものなのか、判断する術はない。しかしとにかく、おばの目は潤んできている。
私がそれを拭ってあげると、親戚が「まさかあんたに目ヤニを拭ってもらう日が来るとは思わんかったはずね」と笑った。全くですよ。

家族はみんなある程度の覚悟はできてきていて、おばの孫たちが日中から家の大掃除に取り掛かっていた。明日からはお客さんがいっぱいくるし、おばもまた家に帰ってくるのだから。

私は今家に戻っているおばの旦那であるおじーを、いざその時が来たときに病院まで高速で連れてくる役を仰せつかり、午後9時ごろにとりあえず病院を出た。

自分の部屋に行く前に、おじーの様子を見に行ってみた。やるせなさからか酒を飲んで酔っ払ってるとのことだったが。
私がおじーの家に入った瞬間、「もう(迎えが)来たのか!?」と強張った顔で迎えられた。酔っている様子は全くない。

とりあえず、病院から連絡が来たらすぐにおじーを連れていくから、もうちょっと待っててね、とだけ言って私は部屋に帰った。

そして、今この作文を書いている。現在午後11時。

連絡はまだ来ない。
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by kooheeee | 2010-06-30 23:03 | シマに暮らす

石垣島東海岸の某集落からいろいろお送りします。
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